樋野興夫ブログ 「がん哲学学校」

第227回「がん哲学学校」
『北陸三県がん哲学外来合同シンポジウム』〜教育者の目指す心得、見本〜 

2017年11月23日


九州大学病院がんセンター 市民公開講座『がん と どう向き合うか 〜 一緒に考えてみませんか 〜』(九州大学百年講堂
大ホール)に招待された。会場からは多数の質問もあり、大変充実した時であった。帰りの福岡空港では、参加者の方と、お茶をのみながら、楽しい有意義な雑談の時間で大いに盛り上がった。

週末は、『がん診療連携拠点病院強化事業/平成29年度 石川県高度・専門医療人材養成支援事業:第27回 金沢がん哲学外来
西村元一先生追悼記念〜第2回 北陸三県がん哲学外来合同シンポジウム〜』(金沢大学附属病院)に参加する機会が与えられた。山田圭輔(金沢大学附属病院緩和ケアセンター)の『開会挨拶』、梶山徹先生(関西電力病院緩和ケアセンター)の特別講演1『緩和ケアにおける希望実現』、シンポジウム『北陸三県のがん哲学外来について語る』(宗本義則:福井県済生会病院、竹川茂:富山県立中央病院緩和ケア、山田圭輔:金沢大学附属病院緩和ケアセンター)が、みぞれ
の降る中、内は熱気に溢れた。

梶山徹先生のご講演は大変勉強になった。ラインホルド・ニーバー(ニーバーの祈り)、ヴィクトール・フランクル(『夜と霧』)を想い出した。筆者は、特別講演2『がん哲学外来の目指すところ』の機会が与えられた。『利家とまつ
記念』(金沢県)、『浅井3姉妹 記念』(福井県)に始まり、富山県も加わり、「北陸三県
がん哲学外来合同シンポジウム」が、毎年開催されていることには大いに感動した。来年は、南原繁が、100年前に赴任した富山県で、学会が開催される。

思えば、NHK大河ドラマ『利家とまつ』の放映の時、金沢大学医学部での学生講義『利家とまつ』に、招待されたのが、鮮明に想い出される。企画された当時の内科学教授であった、今は亡き小林健一先生に依頼されて、医学部学生に「利家とまつ」のタイトルで授業した。小林健一先生の金沢大の「気概と胆力」には感服した。今から約15年前の出来事が、現在の『がん哲学外来』開設の心得に繋がった。人生は不思議である。これこそ、『「30年先を明日の如く」語る「胆力と先見性」』ではなかろうか!
教育者の心得、見本ではなかろうか。
シンポジウム後、懇親会の時を持った。楽しい、忘れぬ有意義な、時となった。

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第226回「がん哲学学校」
60代になっても自分のことしか考えていないなら恥と思え〜個性を引き出す〜 

2017年11月17日


東京情報大学 看護学部での『病理学』の授業に赴いた。『がん遺伝子 と がん抑制遺伝子 の定義と
代表的な遺伝子』&『先天異常の原因と分類』を問うた。生徒の熱心な学習態度には
大いに感動した。「純度の高い専門性と社会的包容力」は、医療者にとって『教育的配慮 & 生活支援』の絶対性大原理でもあろう。

公益財団法人 高松宮妃癌研究基金 第48回国際シンポジウム『がんと宿主のクロストーク;Complexity in Cancer-host
Crosstalk』(パレスホテル東京に於いて)に出席した。日進月歩のがん研究の最新の学びの時であった。このシンポジウムは、当時の、国立がんセンター総長:杉村隆先生、癌研究会癌研究所長:菅野晴夫先生の導きであった。学問の連続性は『人脈を通して流れる』である。

筆者は、医師になり、癌研究会癌研究所の病理部に入った (1979年)
。そこで、当時、癌研究所所長であった、菅野晴夫先生との、大いなる出会いに遭遇した。菅野晴夫先生に、フィラデルフィアの Fox Chase
Cancer Center の Knudson博士の下で「Scienceを学んでくるように」と留学 (1989年)
の機会が与えられた。1991年には、癌研実験病理部部長として、帰国するようにと指示を頂いた。その菅野晴夫先生 (1925年9月13日—
2016年10月30日) も享年91歳で、逝去された。「30代は、人に言われたことを、がむしゃらに行い、40代で、自分の好きな事に専念し、50代で、人の面倒を見るように、60代になっても、自分のことしか考えていないなら、恥と思え」と教わった。30代で留学し、今、60代となった筆者にとっては、2人の恩師との出会いは人生の
” two-hit ” と言えよう。

筆者が、理事長を務める第5回日本結節硬化症学会学術総会『テーマ:結節性硬化症治療ガイドラインと長期経過』(東京都立小児総合医療センターに於いて)に参加した。これも『遺伝性癌の父:Knudson博士』との流れで生じた。医療者・患者・家族など多数の参加者であった。筆者は、ワークショップ「TOR阻害剤導入後の結節性硬化症治療とガイドライン」の座長を行った。「病気であっても、病人ではない」&「遺伝病も単なる個性である」を語った。これは、人類の進むべき方向であろう。患者の「個性を引き出す」時代到来でもあろう。

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第225回「がん哲学学校」
ぶれる時代の人材育成〜「真の病理学者の役割・使命」の甦り〜

2017年07月24日


先週の海の日、『21世紀の軽井沢夏季がん哲学学校 〜 内村鑑三と新渡戸稲造の楕円形の精神 〜』開校記念 公開シンポジウム(シオン軽井沢に於いて)に赴いた。青木裕子氏(軽井沢朗読館 館長、元NHKアナウンサー)の『武士道』(新渡戸稲造 著)、『代表的日本人』(内村鑑三 著)の朗読には、大いに感動した。筆者は講演「『21世紀の軽井沢がん哲学学校』の現代的意義」をする機会が与えられた。信州大学医学部の教授、佐久総合病院の先生を始め、長野県、群馬県、埼玉県、岡山県、東京都 等から、多数の参加があり、会場は、大いに盛り上がった。来年も、7月に開催されるようである。来年は、新渡戸稲造が「軽井沢通俗夏季大学」の初代校長になって(1918年)、丁度100周年である。

来年は、原田明夫氏(元検事総長)が理事長を務められ、筆者も、現在、理事を務める東京女子大の開校100年であり、「新渡戸稲造の初代学長就任 100周年」である。筆者は「原田明夫氏 追悼記念」講演を、敬老の日、伊香保温泉で行う。

日野原重明先生(聖路加国際病院名誉院長)が、105歳でご逝去された(2017年7月18日)。2010年7月25日 安曇野市穂高で、ご一緒に講演「がん哲学 & がん哲学外来 ー新渡戸稲造・南原繁に学ぶー 」( 日野原重明先生「わが歓び わが望み」)したのが走馬燈のように甦る。聖路加国際病院(2015年5月9日)のシンポで「先生と収まっている写真」と、送られて来た。涙なくして語れない!

『女性自身』(8月1日号)で特別対談「音無美紀子 x 樋野興夫:麻央さんは がん患者に、家族に勇気を遺してくれた」(52、53ページ)が、掲載されていた。「私自身も、娘や孫たちの 『ことばの処方箋』というか、存在そのものに救われたことを思い出し、涙がでました。」など多数の励ましのコメントを頂いた。
 
この度、文部科学省の基礎研究医養成活性化プログラム『福島・関東病理法医連携プリグラム「繋ぐ」』(東京大学、福島県立医大学・順天堂大学)が、採択され、その説明会が福島県立医大で開催された。東京大学 病理診断学の先生と参加した。順天堂大学に与えられた課題は、
1)がん哲学:俯瞰的に病気の理を理解し「理念を持って現実に向かい、現実
  の中に理念」を問う人材の育成
2)遺伝性がん(消化器、脳、腎 等)の診断と治療法の開発、環境発がん(中
皮腫 等):診断法の確立
 
である。まさに、ぶれる時代に「真の病理学者の役割・使命」が甦る時である。

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