一般社団法人がん哲学外来

コラム:がん哲学外来 会員向けセミナー

文責・桑島まさき/監修・宮原富士子

Vol.4 【大切な人の心に贈り物を残す・・・】

一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、「がん教育」の知識を高めることを目的にした会員向けセミナーを定期的に開催しています。2025年2月開催のセミナーは次の通りでした。

〇2025年 2月23日(日) 15時~16時(WEB開催)
 講師: 坂野貴宏さん(高校教諭/愛知県在住)
 講座: 「春の香り~脳腫瘍と闘った春香からのメッセージ」

日本列島が寒波に見舞われた2月下旬、3連休の中日に会員向けセミナーが開催されました。この日の講演者は、脳腫瘍のために18歳の若さで亡くなった娘さんの生きた証を残すために、がん哲学外来主催の本講座の他さまざまな講座やイベントにご登場いただいている坂野貴宏さん。娘さんの壮絶な闘病、父としてどのように支えたか、“第二の患者”と呼ばれる家族のがんとの闘いについて話していただきました。

小中高という学生時代は、勉強に加え、友達を作り、部活や習い事をし、様々な出会いと別れを経験する時期です。病気や事故などの不運と無縁の世間一般の少年少女たちは、たくさんの社会体験を通して子どもから大人への階段を上っていきます。彼らのような時間を少ししか持てなかった娘の春香さんは、人生の大半をがんという病気と闘いながら過ごしました。度重なる手術や辛い抗がん剤治療でも弱音をはかず生きる希望を失わなかった春香さんの姿をみて、「家族の方が元気づけられた」と坂野さんは語ります……。

春香さんが亡くなったのは、2020年12月、すでに4年以上の月日が流れました。生前「人の心に何かを刻みたい」「人の役に立ちたい」と言っていた娘さんの言葉がずっと心に残り、坂野さんは仕事の合間にがん啓発活動に参加し、精いっぱい短い人生をかけぬけた娘の人生を形にしたいという思いから、奥さんとの共著で『春の香り』という闘病記を出版しました。講演の機会があると春香さんのことを話す機会を持ち、そういう時間をもつことで「いつも心の中に娘の存在を確認できる(た)、共に生きている」と語ります。
さらに、映画も製作され日本各地で上映されることになりました。

 ※本「春の香り」(文芸社刊)
   https://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-23856-2.jsp
 ※映画「春の香り」公式HP  https://harunokaori-movie.com/
   (3/7~東海3県先行ロードショー、 3/14~東京公開予定)

愛する人の死をうけとめるのは辛いことです。短い人生を終えた人はもっと無念だったことでしょう。残された人は、故人が生きた証をのこし、人々の記憶から忘れ去られることがないようにすることが使命ではないでしょうか。

※ 次回は、3月30日(日)15時~16時開催です。

Vol.3 【がんについて語り、考える機会づくり】

一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、「がん教育」の知識を高めることを目的にした会員向けセミナーを定期的に開催しています。2024年9月開催のセミナーは次の通りでした。

〇2024年 9月29日(日) 15時~16時(WEB開催)
講師: 宮原富士子さん(薬剤師、一般社団法人がん哲学外来事務局担当理事、他)
 講座: 「がんについて語り、考える機会」

この日は、同日午前中(10時~12時)に台東区の生涯学習センターで開催された「みんなのがん教室 がんについて語り・考える機会づくり」に参加した宮原富士子さんが、当日のイベントを振り返り話してくれました。内容は、次の通りでした。

○学校で行われている「がん教育」 地域で行われている「がん哲学Café」
(宮原富士子)、
○がん教育を身近に 地域の図書館で開催しているみんなのがん教室
(小口浩美/一般社団法人LINKOS/がんサポートおむすび)、
○がんを哲学で語り合うCafé

主宰は、あさくさ緩和ネットワーク研究会、NPO法人HAP、ケイ薬局、勝海舟記念下町浅草がん哲学外来(以後、「がん哲カフェ」と表記)で、宮原さんは全てに関わっています。

台東区民の私は縁あって浅草のがん哲カフェに関わっており、これまで様々ながん哲学外来関連のイベントや講演会などに参加してお話をきかせていただきましたが、今回印象に残ったのは、「がん哲学外来はロゴセラピー」という言葉でした。「ロゴセラピー」とは、人が自らの「生の意味」を見出すことを援助する心理療法のことです。
2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんのために死亡し、年間38万人の日本人が亡くなっているという事実。
がんが珍しい病気でなくなっただけに、がんと診断されても動じずに病気と向き合い、自分らしい人生を全うする……。そのためにはがんについて語りあう場所、立場をこえて交流する機会づくりが求められます。

現在、学校や図書館を中心に「がん教育」が行われ、地域で「がん哲café」が開催され、地域の公共機関などで「がん教室」が開かれています。がんについて語り合う場所が、自分の街の近くにあることで、病気や生きる意味について不安を覚えている人の問題解決の一助となれば――。居心地のいい場所が増え、必要な人に必要な情報が届き、穏やかな日常に過ごされることを願っております。

※ 次回は、10月27日(日)15時~16時開催です。

Vol.2 【漢方をうまく活用し病気にならない身体をつくる】

一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、「がん教育」の知識を高めることを目的にした会員向けセミナーを定期的に開催しています。2024年8月開催のセミナーは次の通りでした。

〇2024年 8月25日(日) 15時~16時(WEB開催)
 講師: 土子志さん(漢方薬剤師)
 講座: 「第一回 漢方のおはなし」

がん治療に漢方薬を積極的にとりいれる医師が多いですが、がんや重篤な病気の治療の場合、抗がん剤など様々な薬を服用しますので十分な知識が求められます。そこで、今回は、漢方薬剤師の土子志さんに漢方薬のキホンのキを話していただきました。
2千年前に中国でうまれた学問の漢方が、廃れることなく使い続けられていることの意味、西洋医学と漢方医学の違い、実際に漢方薬を使う上での注意など、限られた時間での中身の濃い内容でした。

がんに罹患すると病院にかかり西洋医学の手をかりて標準医療の中から治療方法を選択するのが一般的ですが、そもそもがんになりたいと思う人はいないはず。そのためにも病気にならない丈夫な身体を作るために自分の症状にあった漢方を日常にとりいれるのも選択肢のひとつです。
ストレス社会の現在、体調を崩したことがないという方はほとんどいないものです。「体調を崩す」状態とは、漢方の考え方では、環境に適応できていない状態をさします。

不調を感じると巷にあふれる薬やサプリメントなどを使用しがちですが、そもそもセルフチェックは万全なのかどうか、身体の声をただしく聞き分けることが大事です。なかなか治らない症状は自己判断せずに医療機関にかかり適切な診断がすんだ上で正しい薬を服用しましょう。漢方薬を使用する場合、現在服用している西洋薬の併用に注意が必要ですし、ネットで購入する際にも正しい情報が求められます。

西洋薬と同じで、身体にいれるものに対しては正しい理解が必要なのは言うまでもありません。心と身体は切り離せない存在だと、再認識しました。

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