「スヴェンソンメディカルカフェ(2026-2-11)」レポート
【外見が変わってもあなたらしく生きるために】
2026年2月11日、がん哲学外来スヴェンソンメディカルカフェが東京都台東区内の台東区民会館で開催されました。テーマは、「あなたらしく生きるために ~がん患者のアピアランスケアについて」。
雨不足による弊害が懸念されていた中、この日は久しぶりの冬の雨の一日となりました。選挙が終わり静けさは戻ったものの、今度は冬季オリンピックがイタリアで開催されました。日本勢の活躍が嬉しいニュースを運んできて、なんとなく心がポカポカ温まるような感覚を覚えた方が少なくないでしょう。
当日のプログラムは次の通りでした。
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○おしゃべりタイム
○開会のあいさつ スヴェンソンメディカルカフェ/根岸さん
○講話1「あなたらしく生きるために ~がん患者のアピアランスケアについて」
一般社団法人がん哲学外来理事長/宗本義則
○講話2 「がん患者の自分らしさって何だろう?」
がん哲学外来シャチホコ記念カフェ代表/彦田かな子
○講話3 「病院の相談室を活用する魅力とは」
虎の門病院がん相談支援センター 認定がん相談員/森岡江美
○講話4 「地域の社会資源 自分のケアは自分で決める」
一般社団法人がん哲学外来事務局長・理事/宮原富士子
○対話の時間「わかちあいタイム」
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一般社団法人がん哲学外来理事長の宗本先生は、普段は福井県にある済生会病院に勤務している医師です。今回は、同病院での「アピアランスケア」の取り組みについてお話をされました。
「アピアランスケア」とは、医学的・整容的・心理社会的手段を用いてサポートすることです。抗がん剤による障害を具体的にあげた上で、元にもどるもの/戻らないものがあることを説明し、「人と社会をつなぎ、外見が変わってもその人らしくいられることをゴールとして活動している」と述べられました。
がんサバイバーで「がん哲学外来シャチホコ記念カフェ」代表の彦田さんは、〈自分らしさ〉について言及し、「がん以前の自分に戻れないのは悲しいと思うが、『らしさ』を『固定』しなければいい」と考えを述べました。
確かに、時間の流れと共に人は姿形も考え方なども変化していきます。この世に不変なものなどなく、しっとりとした黒髪は時間の経過とともに白髪になったり薄くなったりしていきますし、しみひとつない肌には加齢にしたがいしみ・しわ・たるみなどが顕著になっていきます。がんに罹患していない人でも等しく加齢による変化が現れるのですから、がん闘病による変化を(ある意味)特別視しなくてもいいのかもしれません。そういうふうに考え方を変えるだけで、心理的には少し楽になるような気がします……。
がん相談支援センターに勤務するがん相談員の森岡さんは、主治医に相談できない不安や悩みがあるならば病院内にあるがん相談支援センターを活用し、アピアランスケアの助成制度があることを説明。また、自身や家族が通院している病院以外のがん相談支援センターでも相談を受けられると教えてくれました。
一般社団法人がん哲学外来事務局長の宮原富士子さんは、普段は台東区内の訪問薬剤師として多くの患者さんを担当し、「勝海舟記念下町(浅草)がん哲学外来哲学メディカルCafé」を主宰し、カフェに足を運んでくる方々の相談を受けています。
「がんに限らず病気と闘う人は、情報を知っている人に近づくのがベスト。少なくとも近くに自分を助けてくれる人を3人は探しておくことが大事。『受援力』を高めるほどいい人生になると思う」と述べました。
講演者の話を聴いた後、参加者数人に分かれて意見交換する「分かち合いタイム」を持ちました。すでに花粉が飛びはじめ、インフルエンザも大流行しています。がん患者さんの敵はがんだけではありません。便利なものをしっかり活用して快適な毎日を送りたいですよね。
※スヴェンソンがん哲学外来オンラインメディカルカフェ
https://ladys.svenson.co.jp/
当院のがん患者にAIを使用した記事がM3に取り上げられました。
福井済生会病院がん相談支援センターに森岡江美社会福祉士が訪問しました
福井県済生会病院がん相談支援センター見学について
2026/01/20
森岡江美
福井県済生会病院におけるがん相談支援の実際を学び、福井県済生会病院と福井工業大学と共同開発されたAI(対話型ケアボット)を活用した相談体制の見学を行った。本見学は福井県済生会病院の宗本先生、がん相談支援センター相談員の案内のもと、がん相談支援センターを中心に見学を行った。また、ケアボット導入の経緯や、福井工業大学との連携体制、現在の運用状況について説明を受けた。
病院全体では、検査から治療までを一貫して提供する女性専門のフロア、外来での緩和ケアの介入、入院中の緩和ケアチームによる支援、副作用に対応するがん治療サポート外来など、患者を支える体制が整っていると考えられた。院内にある緩和ケア病棟内には水の都福井ならではの噴水があり、水の音が絶えず流れることで穏やかな雰囲気が保たれていた。
がん相談支援センターでは、毎月のメディカルカフェの開催、月2回の業者によるウィッグなどの相談会、ハローワークの相談会、社会保険労務士による相談会など患者向けの相談会が積極的に開催されていた。暖かい日差しが入るよう設計されたメディカル情報サロンがあり、メディカルカフェもこちらで開催されている。メディカルカフェには、ピアサポーター研修を修了したピアサポーターも計画段階から参加しており、患者・家族が抱く疑問に対応できるテーマ設定となっていた。
メディカル情報サロン内にはウィッグや帽子が展示されており、手に取って触れることができることも特徴的であった。
福井県済生会病院ではがん患者および家族が抱える不安や困りごとに対応するため、ケアボットの実証研究を行っており、来年度から活用する予定である。ケアボットは、治療や制度に関する基本的な情報提供を行うとともに、相談内容の整理を行い、必要に応じてがん相談支援センターの相談員による相談対応へとつなぐ役割を担っていた。ケアボットのアバターは宗本先生をモデルとしており、相談者に傾聴・受容・支持的支援・情報提供を行う姿が、宗本先生の対応を彷彿とさせるものとなっていた。
ケアボットを相談支援体制の一部として位置づけた経緯や、患者・家族が相談にアクセスしやすい環境づくりを目的としていることについて説明があった。相談員につなげるようなキーワード設定を検討中であり、ケアボットによる対応と、相談員による人的支援との役割分担が整理されている点を確認した。
福井工業大学と共同したケアボットを活用した相談支援体制は、がん相談支援の新たな可能性を示す取り組みである。ICTと人的支援を適切に組み合わせることで、患者・家族にとってより利用しやすい相談体制の構築につながると考えられた。

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