一般社団法人がん哲学外来

コラム:哲学で考えるがん教育カフェ

文責・桑島まさき/監修・宮原富士子

Vol.3 【がんと診断されても動揺しない世の中の実現】

一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、がん教育の学びを哲学で考える「哲学で考えるがん教育カフェ」を毎月開催しています。カフェは、既に各地でがん教育に携わる方々にご参加いただき、参加者と共に話し合う場で、がん教育の重要性が問われる中、外部講師を育てサポートすることを目的としています。      

2024年8月開催のがん教育カフェは次の通りでした。

〇2024年8月10日(土) 16時~17時(WEB開催)

 講師: 進藤丈さん(大垣在宅クリニック医師)
             
 講座: 「がん教育の授業で大切にしたいこと、気をつけること」

 岐阜県大垣市で在宅クリニック医師として働く進藤さんは、がん教育外部講師として子どもたちにがん教育活動を展開されています。この日は、がん教育の授業で気をつけていること、大切にしていることなどについて話されました。活動拠点である岐阜県のがん教育モデル、西濃地域における取り組み、がん教育外部講師派遣システムなど、限られた時間内での幅広い情報は参考になることばかりでした。
進藤さんが学校で子どもたちにがん教育をする際には、とにかく常に子どもを中心にわかりやすく話をすること、医療者・学校の先生・がん患者さんそれぞれの得意分野を共有すること、を心がけているということでした。
そして、治療が苦しく生きていくのが辛いなら勇気をもって「助けて!」と声をあげて欲しい、がんと診断されても動揺せず生きて欲しい。そういう世の中にしたいという思いを抱いて活動している、と声に力をこめて話されました。

この日の2日前、宮崎県日向灘を震源とする地震がおこり、南海トラフ大地震想定域のため注意報がだされ日本列島に緊張がはしりました。頻繁に地震がおこっているとはいえ不安を覚えたことと思います。そんな中、全国津々浦々から参加者が集い想いを共有しました。
年々異常さを増す酷暑、地震、大雨、台風……耐え難く苦しい夏ですが、地震大国に住む以上、早いうちから正しい知識を学び、地震がおきても動じず身を守る行動を身につけることが必要です。
2人に1人ががんに罹患する現在、とても身近な病気になったとはいえ、いざ罹患すると「まさか自分が!」「何故、自分が!?」と思う方は少なくないようです。早いうちからがんについて学んでいたらどうでしょうか……? 
がん告知を受けても動揺しないような啓発を充実させる社会の構築をめざす活動に期待しています。

※ 次回は、9月14日(土)16時~17時開催です。

Vol.2 【現在できることを、遠慮なく欲張って生きる!】

 一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、がん教育の学びを哲学で考える「哲学で考えるがん教育カフェ」を毎月開催しています。カフェは、既に各地でがん教育に携わる方々にご参加いただき、参加者と共に話し合う場で、がん教育の重要性が問われる中、外部講師を育てサポートすることを目的としています。      

2024年7月開催のがん教育カフェは次の通りでした。

〇2024年7月20日(土) 16時~17時(WEB開催)

 講師: 大島直也さん(大島治療院鍼灸師/スポーツトレーナー/肺がん当事者)
             
 講座: 「学校で伝える私のがんの話」

講演内容: 
 AYA世代のがん患者で三児の父でもある大島さんは、現在、幸いにもさほど抗がん剤の副作用がないため通常通り仕事をしながら、がん教育外部講師として活動中。がん教育外部講師としての活動で気を付けていること、そして自身の闘病について話してくれました。
学校で子どもたちにがん教育をする際には、医学的根拠が乏しい情報は明白にして話す/子どもたちの表情をみて話す/自分よがりの独演会にしない/といった点に気を付けているそうです。
がん治療に関しては、治療がうまくいかないと焦りが生じるものだが「最新の治療」が「最良の治療」ではないことを理解して欲しいと思っているとのこと。

 がんと診断されてから「みんなのがん教室」に参加し、同じような経験をもつ仲間たちと知り合い、がん教育を推進する一般社団法人LINKOS(リンコス)に関わり、現在は同法人の理事を務めている大島さんは、がん教育を通してキャリア教育をしたいと考えていると話します。
昨年夏、ステージⅣの肺がん患者」となり1年が経過。厳しい治療になるだけに、現在できることは遠慮なくやり、生きること、楽しむこと、やりたいことを欲張ってやりたいと話す姿をみて、「いい覚悟でいきる」という清々しい言葉を実感しました。

 
※ 次回は、8月10日(土)16時~17時開催です。

Vol.1 【住み慣れた地域で安心して過ごすために】

一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、がん教育の学びを哲学で考える「哲学で考えるがん教育カフェ」を毎月開催しています。カフェは、既に各地でがん教育に携わる方々にご参加いただき、参加者と共に話し合う場で、がん教育の重要性が問われる中、外部講師を育てサポートすることを目的としています。      

2024年6月開催のがん教育カフェは次の通りでした。

〇2024年6月8日(土) 16時~17時(WEB開催)

 講師: 宮原富士子さん(一般社団法人がん哲学外来理事、薬剤師、
              勝海舟記念下町(浅草)がん哲学外来主宰など)
 講座: 「がん教育の視点から見たがん哲カフェ」

講演内容: 
浅草を拠点として活動する勝海舟記念下町(浅草)がん哲学外来(以下、「がん哲カフェ」と表記)主宰の宮原富士子さんが、同志の仲間たち(医師、薬剤師、ケアマネージャー、看護師)と共に展開する活動、「浅草モデル 浅草コンソーシアム」(大別すると、がん哲カフェ、浅草かんわネットワーク研究会、緩和DI塾在宅DI研修会、女性の健康講座)をスライドで説明されました。このモデルは、がん患者と家族を支える浅草地域の介護医療スタッフの顔の見える関係を築くことを目標にし、ケアラーのほとんどが女性であることが特徴です。

 そして、「人としての尊厳が尊重され、なじみの浅草で、最愛の人々に囲まれて安心して過ごすこと。それを私達専門職チームが、一丸で寄り添い、支え続け、最期までしっかりと、その人らしい人生を送っていただく」。それが、宮原さんと志を同じくする仲間たちの目標となっています。
 がんになったからといって悲観的にならず、がん闘病を特別なものと意識せず、がんになっても住み慣れた地域で安心して過ごす……。そのためには、早いうちからがん教育に触れることが大事です。

※ 次回は、7月20日(土)16時~17時開催です。

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