Vol.7 【戻るべき場所があると強くなれる】
一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、がん教育の学びを哲学で考える「哲学で考えるがん教育カフェ」を毎月開催しています。カフェは、既に各地でがん教育に携わる方々にご参加いただき、参加者と共に話し合う場で、がん教育の重要性が問われる中、外部講師を育てサポートすることを目的としています。
2024年12月開催のがん教育カフェは次の通りでした。
〇2024年12月21日(土) 16時~17時(WEB開催)
講師: 柴田景子さん(がん当事者/ガンピアサポーター)
講座: 「学校で伝える私のがんの話」
2024年最後のがん教育カフェは、今年も残すところ僅かとなった寒さ厳しい12/21に開催され、誰もが忙しい時期でしたが全国から30名をこえる方々がオンラインで集いました。この日は、三重県桑名市在住、がん患者でがん教育外部講師としても活動する柴田景子さんが、自身のがん体験を通して思考を重ねたどり着いた生き方を中心に話しました。
柴田さんががんに罹患したのは、配偶者は海外赴任中、三重県で3人の子どもの世話に明け暮れていた時……告知をうけた方が経験するように柴田さんも「がん」という響きに負けそうになり気持ちが沈んでしまいました。そんなある日、マンガばかりよんでいた息子さんから「スラムダンク」を例にとり「諦めたら試合終了!」と力強い励ましの言葉をもらい、時を同じくして職場の上司からも温かく優しい言葉をもらい、がんと向きあう決心をされたそうです。
……身体の中にがん細胞がいても、自分の戻るべき場所ある。そう思うだけで人は強くなれる……という思いが強くなっていきました。
もちろん、何気なく心ない言葉をかける人もいて傷ついたこともある。その時々で思考を重ね、気持ちの棚卸しをすることで、広い視野をもつことができたそうです。
そして、自身の人生におこったことをなかった事にするべきではないと考え、同じような境遇にいる方々に役に立てればと闘病の日々をブログで発信するようになり、さらにがん教育外部講師の活動に参加し、現在に至っています。
柴田さんの自分史上、がん罹患・闘病体験は大事件だったはずですが、がんとの関わりだけが人生の全てではありません。病気や社会と闘い、傷つきながらも考えぬいて、立ち止まらずに前へ進んでゆく強さ、しなやかさ。自分の人生をリメイクしながら生き直していく姿勢、ストレートな思いが伝わるお話でした。
来年も引き続きよろしくお付き合いください。良いお年をお迎えくださいませ。
※ 次回は、2025年1月18(土)16時~17時開催です。