一般社団法人がん哲学外来

コラム:哲学で考えるがん教育カフェ

文責・桑島まさき/監修・宮原富士子

vol.5【がん医療・健康意識の向上は、若い世代の啓発が重要】

一般社団法人がん哲学外来(通称「がん哲学外来」)は、がん教育の学びを哲学で考える「哲学で考えるがん教育カフェ」を毎月開催しています。カフェは、既に各地でがん教育に携わる方々にご参加いただき、参加者と共に話し合う場で、がん教育の重要性が問われる中、外部講師を育てサポートすることを目的としています。

2024年10月開催のがん教育カフェは次の通りでした。

〇2024年10月12日(土) 16時~17時(WEB開催)

講師: 小泉知展先生(長野県立病院機構長野県立木曽病院
信州大学医学部附属病院信州がんセンター/信州大学名誉教授)

講座: 「長野県におけるがん教育の歩み」

ようやく秋本番となり、食欲・スポーツ・読書に専念できる過ごしやすい季節となりました。酷暑のせいで旅行気分ではなかった方も、電車に揺られ駅弁をたべながら季節の移ろいを堪能できる旅にでたい気分になるのではないでしょうか。
10月度のがん教育カフェは、世の中的に三連休の初日、長野県でがん教育の普及につとめる医師で信州大学名誉教授の小泉知展さんが、長野県のがん教育の歩みや現状についてお話しくださいました。小泉さんは、がん教育を推進する一般社団法人LINKOSのメンバーでもあります。
「がん教育」は、学校や図書館などで若い世代への教育を目的としているだけに、難解な内容ではなく、映画や本などを使用してわかりやすくかつ楽しく伝えることが大事と思い実施しているとのこと。

長野県といえば、上田市出身の山極勝三郎先生がおられます。山極先生は、世界初の「人工がん」実験に成功した人で、2016年には「うさぎ追いし 山極勝三郎物語」という映画も製作されました。現在、次々に今年のノーベル賞が発表されていますが、山極先生の功績もノーベル賞にとても近い位置にありましたが、諸事情で残念なことに受賞を逃してしまいました。それでも、先生の偉業は現在のがん医療を支え、語り継がれているのですから、まさに偉業ですよね。

長野県は女性のがんが多いものの全国的にがん罹患率が低い県となっている現実をみると、地道ながん教育による啓発が影響していることは間違いないでしょう。小泉さんは、「がん医療・健康意識の向上は、若い世代の啓発が重要で、いかに広げていくかが鍵」と語ります。
同じ頃、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が今年のノーベル平和賞を受賞しました。1956年に結成され始まった日本被団協は、被爆の記憶を語り続けて68年になります。受賞の喜びをかみしめる高校生たちの姿が印象的でした……がん教育もこつこつと続けることが重要なのだと改めて思いました。

※ 次回は、11月2(土)16時~17時開催です。

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