ことばの処方箋
これまでの“ことばの処方箋”
- 薬を10錠飲むよりも、心から笑った方がずっと効果があるはず。
- 「アンネの日記」の著者、アンネ・フランクの言葉。
アンネの家族はユダヤ系ドイツ人だったために第二次世界大戦中、
ナチスドイツによる迫害の対象となり
家族とともにナチスから逃れて隠れ家で暮らしていたが、
密告者によりナチスにみつかり強制収容所に送られた。
劣悪な環境下でも生きる希望を失わなかったが、
チフスにかかり15歳の若さで生涯をおえた。
恐怖におびえながら隠れ家で書いた日記は、アンネの死後、
世界中の人々に認知され、学校教育等で語り継がれている。
10代の若い女子が、忍び寄る死を感じる日々の中で、
心から笑える平和な日が来るのをどれほど待ちわびたことか……。
実話だけに説得力がある。
- たくさん経験をしてたくさん苦しんだほうが、
死ぬときに、ああよく生きたと思えるでしょう。
逃げていたんじゃあ、貧相な人生しか送れませんわね。 - 日本の小説家で僧侶でもあった瀬戸内寂聴の言葉。
作品も私生活も常に話題を提供し、
特に多くの女性たちに支持されてきた
タフな寂聴だからこその言葉である。
辛さや苦しさを恐れていたのでは、
自身が望むことが実現できない。
やらずに後悔することの空しさを説く。
- たとえ、歳月を重ねた奮闘努力が、
少しも報われないと思えるときでも、
いつの日か、その努力にちょうど見合うだけの光が、
あなたの魂にみなぎるものです。 - 死後、評価が高まったフランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユは、
戦時中、ユダヤ人であったために亡命生活を強いられた。
他者に負けないほどの努力をしているのに
結果がだせなかったり評価されなかったりすると、
すねて自分の不運を嘆いて自暴自棄になる人も少なくない……
しかし、違う形で努力の結果がでるものだと説く。
そのことに気づかずに人生を終わってしまう人もいるが、
何より心の持ち方が大事なのである。
- 自分が何者であるかを分からないうちに、
人に理解してもらおうなどと思うべきではない。 - 34歳の若さで第二次世界大戦中に亡くなった
フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの言葉。
生前、名前をしられることのなかった彼女だが、
戦後「重力と恩寵」が出版されるとベストセラーとなり、
研究が進むにつれ評価を高めている。
人間の本質を見抜くのはとても難しい。
自分自身のことは何でもわかったつもりでいても、
そうではないことが多い。
人生は、自分自身を理解するための旅といえる。
- 妬みによって幸福になる人間はどこにもいない。
- スペインの哲学者・神学者のバルタサル・グラシアンの言葉。
負の感情(妬み、嫉み、僻み)をもつて生きると、
いつしかネガティブ思考に支配されてしまう。
物事が自分の思い通りにならないのは、他人のせいと考え、
自分を見つめることはなく、自分は運が悪く不幸だと思ってしまう。
負の連鎖は、すぐそこにある幸福にも気づかないものである。
- 人間一人ひとりがもう少し
「誇り高く」生きることが大切ではないでしょうか。
大きな花、豪華な姿で咲き誇る花を羨み、自らを卑下することなく、
「小さきは小さく咲かん」という健気さとプライドを持って生きること。
それはまた、他人にもその人なりの、その人にしか咲かせることのできない
花を咲かせようとする姿でもあります。 - シスター、ノートルダム清心学園の理事長だった渡辺和子の言葉。
渡辺和子はほかに「置かれた場所で咲きなさい」という名言を残している。
自分の境遇に満足せず嘆いて愚痴ばかりこぼしたり、
他人をうらやんだりひがんだりすることの空しさを説いている。
- 今日も、生涯の一日なり。
- 啓蒙思想家、教育者の福沢諭吉の言葉。
自分の時間は自分だけのものだが、日々の使い方は人それぞれ。
1年365日、どの日も貴重な一日である。
明日があるとは限らないだけに、
今日という日をしっかり生きることの大切さを、
実に短い言葉で表している。
- 人生は道路のようなものだ。一番の近道は、たいてい一番悪い道だ。
- 17世紀イギリスの科学革命を代表する
哲学者、神学者、法学者のフランシス・ベーコンの言葉。
科学に関心の深かったベーコンは、
物事を実際に経験すること、チャンスを待つだけではなく、
失敗をおそれずに行動することの重要性を説いた。
- 尊敬すべき幸福な人は、逆境にいても、
つまらぬことはくよくよせず、心配しても始まらないことは心配せず、
自分の力のないことは天に任せて、自分の心がけをよくし、
根本からの再生の努力をする人である。 - 日本の小説家で「おめでたき人」「友情」などの作品を残した
武者小路実篤は、詩人・劇作家・画家としても有名。
がん哲学外来が推奨する言葉の処方箋「曖昧なことは曖昧に考える」
に通底する真理をいいあてている。
終わったことや物事がおきてもいないことを
心配ばかりしてストレスを感じるより
ポジティブにとらえることが大事。
- 愛とは純粋な善意の現れである。愛のあるところには人が集まる。
- 日本の小説家・宇野千代の言葉。
明治、大正、昭和、平成の4つの時代を生き抜いた
作家の宇野千代(故人)は、小説や随筆だけでなく、
編集者・着物デザイナーとしても才能を発揮した。
また、才能あふれる作家や画家たちとの恋愛・結婚も話題をよび、
まさに「自立した恋多き女」として有名。
人を愛するということの真理をといている。
- うしろをふり向く必要はない。
あなたの前にはいくらでも道があるのだから。 - 中国の小説家・思想家の魯迅の言葉。
医学を学ぶために日本留学経験のある魯迅は、混迷の時代、
医学では愛する国家を救うことは困難だと悟り文学に転じ、
代表作「阿Q正伝」や「狂人日記」などの名作を残している。
「中国近代文学の父」と呼ばれた魯迅の信念の強さを物語る言葉である。
- 自分自身に負けない限り、それは敗北ではないのです。
- アメリカ第32第大統領フランクリン・ルーズベルトの妻、
エレノア・ルーズベルトの言葉。
エレノアは単に「大統領の妻」という認知度ではなく、
政治活動に関わり新聞などのメディアにコラムをかくジャーナリストで、
世界人権宣言の起草者としても知られている。
自分を信じ迷わず進んでいくことの大事さをついている。
- いつだって思っていることは、現実になっていきます。
良いことを常に思いましょう - 2025年6月3日、惜しまれつつ亡くなった日本野球界のレジェンド、
長嶋茂雄は数多くの名言や面白い言葉を残し語り継がれている。
伝説のスター選手が、いかにして偉業をなしとげたか、
精神面の強さを物語る言葉である。
がんなどの重篤な病気になった時、苦しい治療だからといって
悪いことばかり考えるとふんばりがきかず、
思うような効果が期待できないものである。
- 失敗は成功のマザー
- 日本国民に最も愛された元野球選手で監督の
「ミスタープロ野球」長嶋茂雄が、発明王/エジソンの名言
「失敗は成功の母」を元に発信した造語。
文字どおり、失敗を恐れて挑戦しなければ
何事も成し遂げられないという真理をついている。
数々の記録をうちたて、人々の記憶に残る「昭和のスター」、
その栄光の陰で数々の挫折や苦難があったからこその言葉だ。
- わからないものをわかろう、自分ではない他人をわかろう、
この想像的努力のまたの名は、ほかでもない、愛である - 平易な言葉でとっつきにくい(?)哲学を幅広い世代に広め、
考えることの重要性を説いた日本の女性哲学者、池田晶子(故人)。
「14歳からの哲学」「帰ってきたソクラテス」など
多くの哲学エッセイを残した。
愛の基本は、自分とは違う誰かを理解することだと説く。
- 多くの人にとってより危険なのは、
目標を高くし過ぎてそれに届かないことではなく、
目標を低くし過ぎてそれに届いてしまうことなのです - イタリアの彫刻家ミケランジェロの言葉。
自分を過信しすぎるのは危険だが、最初から自分は「できない」と思い込んで
挑戦する心をもたないことは成長を阻止するものだ、と説いている。
目標は高いほどやりがいがあり、高きをめざす原動力だからだ。
- 怒りを感じたら、話す前に10数えなさい。
激しい怒りを感じたら、話す前に100数えなさい - アメリカ合衆国第3代大統領の言葉。
何か嫌なことに遭遇すると感情を制御できずに
すぐに相手と衝突してしまう人がいるが、
理性をもつ人間は、怒りという感情を制御できるものである。
- 弱い者ほど相手を許すことができない。
許すということは、強さの証だ。 - インドの弁護士、宗教家、政治指導者のガンジーの言葉。
「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるが、
他者を「許す」という行為は難しいものである。
許せないという感情をもち続けることは、
自分の中で負の感情にとらわれることであり、
その結果としてエネルギーを消費することだ、と説いている。
- 成長や変化には痛みが伴います。しかし何より苦痛なのは、
自分の場所ではないところにずっととどまることです - インドの実業家でIT企業インフォシスの創始者である
ナラヤナ・ムルティ氏の言葉。
何事も永遠につづくものはなく、
雲が流れるように物事は変わっていくものである。
変化の中で自分の居場所を見出していくことが大事。
自分のいるべき場所でない所に、
目的もなくだらだらと過ごすのは人生の無駄としかいえない。
- 他人や過去は変えられないが、未来と自分は変えられる
- カナダの精神科医エリック・バーン氏の言葉。
過去を変えることはできない。人生のあらゆるシーンにおいて、
意見の相異により他人と衝突することがある。
そんな時、他人が間違っているとして変えようとする人がいるが、
人それぞれ人格が備わっているのだから難しい行為……。
過去の失敗や苦い経験に囚われず、「自分は変わる」という柔軟な心をもち、
明るい未来を想像することが大事なのである。
- しあわせはいつも じぶんのこころがきめる
- 詩人で書家の相田みつをの作品は、独特な作風だけに
書籍やカレンダーなど様々な方法で目にすることができる。
飾らない言葉は、すとんと胸におちてくるものばかり。
幸福の基準は人それぞれ。傍からみたらなんでも持っているようにみえる人が、
実は満たされていないというケースは多々ある。
つまり、幸福度は自分が決めるものなのである。
- 人生において最も大切な時 それはいつでも いまです
- 詩人で書家の相田みつをは「いのちの詩人」といわれただけに、
残した数々の言葉はシンプルでわかりやすく心に響くものばかり。
現在の自分を形成しているものは過去であるが、過ぎた日に囚われずに
「現在(いま)」をしっかり生きることの大事さを説いている。
がんなどの病気にかかった人は、自身の生命の時間のことを考えるあまり
明日の心配ばかりしてしまうものだが、未来のことは誰もわからない。
だからこそ、現在を生きることが大事なのである。
- 死ぬときに教訓が大事なのではなく、生きている時の行動が大事なのだ。
- 東京海上火災保険、王子製紙、帝国ホテルなどbr>
日本の優良企業の設立に関わった
「日本資本主義の父」渋沢栄一の言葉。
その名前を知らなくても、紙幣を通して
その風貌を目にしているはず。
人生の教訓を悟り後世に残すことは大事だが、
現在(いま)をどう生きて、どう考え、
どんな風に行動したかの方がより重要。
膨大な功績を残した渋沢栄一の発信だけに説得力がある。
- 子を失う親のような気持ちで、患者に接することのできない、
そのような共感性のない人がいるとしたら、今すぐこの場から去りなさい。 - 看護師という職業が、人の世話をする召使的な存在とされていた時代、
専門的な知識をもった看護師の必要性を実感し、
看護師教育に生涯を捧げたフローレンス・ナイチンゲールの言葉。
「近代看護教育の母」と称されるナイチンゲールの生き様や残した言葉は、
特に医療従事者にとっては参考になる。
- 私は決して失望などしない。
なぜなら、どんな心配も新たな一歩となるからだ。 - 84年の生涯において約1300の発明と技術革新をした
アメリカ人発明王トーマス・エジソンの言葉。
偉人は子どもの頃から好奇心旺盛で実験に没頭した結果、
現在をいきる私たちの生活に欠かせないものを発明したが、
決してすべてうまくいったわけではない。
諦めない心が成功につながることを教えてくれる。
- 私たちのつとめは成功ではない。失敗にも負けずにさらに進むことである。
- イギリスの小説家・詩人で「宝島」「ジキル博士とハイド氏」
などの著者であるステイーブンソンの言葉。
人種差別撤廃に生涯を捧げたアフリカを代表する政治家であるネルソン・マンデラが
「人生における最大の栄光は、決して転ばないことにあるのではない。
何度転んでも起き上がることにあるのだ」と明言を残したように、
失敗を重ねてもあきらめずに目的に向かって進むことの大切さを説いている。
- 人間を賢くし人間を偉大にするものは、過去の経験ではなく、未来に対する期待である。
なぜならば、期待をもつ人間は、何歳になっても勉強するからである。 - アイルランドの劇作家、ノーベル文学賞受賞者、
ジャーナリストのバーナード・ショーの言葉。
人生において、過去、どんなにすばらしい経験をし実績を残しても、
それらが現在・未来につながらないと意味がない。
過去に固執せず、現在をよりよく生き、
未来を向いて努力・学びを続けることこそ意義がある。
- やったことは例え失敗しても、20年後には笑い話にできる。
しかしやらなかったことは、20年後には後悔するだけだ。 - 「王子と乞食」「トム・ソーヤの冒険」などの著者である米国の作家マーク・トウェインの言葉。
何もやらずに後悔するよりも、結果がどうであれ何かに挑戦することの大切さを説いている。
- 名誉を失っても、もともとなかったと思えば生きていける。
財産を失ってもまたつくればよい。
しかし勇気を失ったら、生きている値打ちがない。 - ドイツの詩人・作家で「狭き門」などの著書をもつゲーテの言葉。
名誉や財産はうしなってもまた作ることができる。
勇気はその人の本質的なものであり、元々もっていない人も存在する。
気ある人でも、一度うしなってしまうと厄介なことになかなか奮い立つことは難しい。
形のあるものではないためわかりにくいが、勇気ある行動は結果がどうであれ、それ自体意義深い。
- 無知を恐れてはいけない。偽りの知識を恐れよ
- 「人間は考える葦である」という言葉を残したフランスの哲学者パスカル。
自分をよく見せるためにしったかぶりをしたり、きちんと調べることもなく
他者の伝聞をうのみにしたりする人間の愚かさを言い当てている。
本当に強い人は、知らないことはきちんと認め、知るための努力を怠らないものである。
