一般社団法人がん哲学外来

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21世紀のがん哲学 樋野興夫
〜すこしの時間ご一緒しませんか?
ちょっと立ちどまり、一息つき、考えるときを持ち、歴史人に思いをはせる~

第41回 『賢明な寛容』 〜 『実例と実行』 〜

2025年1月5日 アメリカ ワシントン州Lakewood在住の娘夫妻の自宅からWifeと帰国した。 1月6日は、恵泉女学園(創立1929年)の教職員の新年礼拝に赴いた。 筆者は理事長として『挨拶』の機会が与えられた。 下記の新渡戸稲造(1862-1933)の言葉を述べた。

1) 世界の動向を見極めつつ 歴史を通して今を見ていく
2)『理念を持って現実に向かい、現実の中に理念』を問う人材の育成
3) 複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む
『具眼の士』の種蒔き
4) 世の流行り廃りに一喜一憂せず、あくせくしない態度
5) 軽やかに、そしてものを楽しむ。 自らの強みを基盤とする。
6) 学には限りないことをよく知っていて、新しいことにも、自分の知らない
ことにも謙虚で、常に前に向かって努力する。
7) 段階ごとに辛抱強く、丁寧に仕上げていく。 最後に立派に完成する。
8) 事に当たっては、考え抜いて日本の持つパワーを充分に発揮して 大きな仕
事をする。
9) 自分のオリジナルで流行を作れ!
10) 昔の命題は、今日の命題であり、将来のそれでもある

2013年に新渡戸稲造没80周年 & 新島襄(1843-1890)生誕170周年 シンポジウムを行った。 新渡戸稲造が国際連盟事務次長時代(1920〜1926)に設立したのが『知的協力委員会』である。 【世界中の叡智を集めて設立した『知的協力委員会』には 哲学者のベルグソン(1859-1941)や 物理学者のアインシュタイン(1879-1955)、キュリー夫人(1867-1934)らが委員として参加し 各国の利害調整にあたった。『知的協力委員会の後身がユネスコ』】である。

筆者は、【原田明夫(1939~2017)検事総長・東京女子大学理事長】(添付)と、2000年『新渡戸稲造 武士道100周年記念シンポ』、『新渡戸稲造生誕140年』(2002年)、『新渡戸稲造没後70年』(2003年)、さらに、『新渡戸稲造 5000円札さようならシンポ』(2004年)を国連大学で開催したのが 走馬灯のように駆け巡ってくる。 一番の思い出は、原田明夫氏と月1回『21世紀の知的協力委員会』を開催したことである。

(1)賢明な寛容さ (the wise patience)
(2)行動より大切な静思 (contemplation beyond action)
(3)紛争や勝利より大切な理念 (vision beyond conflict and success)
(4)実例と実行 (example and own action)

【『多様性と共生への視点 ~ 世界で・社会で・家庭で ~』という 争いのない社会を築くために何を拠りどころに考え、行動すればよいのか?、それが、『欣然たる面貌、快然たる微笑をもて』(新渡戸稲造)の実践であろう。】今こそ【国際貢献として『21世紀の知的協力委員会』の歴史的到来】ではなかろうか!【『過度な自粛』と『軽度な自粛』の違いの学び=冗談を本気でする胆力の実践』】の時代的到来であろう!

第40回 『真摯に継続』 〜『役割と使命』の遂行 〜

2024年12月26日千葉県柏地域医療連携センターでの『柏がん哲学外来』(『がん哲学外来あびこカフェ』代表:中野綾子氏が担当)に赴いた(添付)。 筆者は、個人面談の機会も与えられた。『がん哲学外来亀有メディカルカフェ』(代表:小暮信子氏)& また、2019年7月開設された『岡倉天心(1863-1913)記念 がん哲学外来・巣鴨カフェ「桜」』の2代目代表の西原光治氏が『岡倉天心記念 がん哲学外来・巣鴨カフェ「桜」』5周年記念誌を持参された(添付)。終了後、一緒に昼食した。真摯に熱意を持って、継続的に活動されている皆様の姿は、 まさに『役割と使命=自分の力が人に役に立つと思うときは進んでやれ』の遂行である。

『柏がん哲学外来』は、2009年当時の国立がんセンター東病院の病院長の江角浩安先生のお計らいで、柏の葉キャンパス駅隣接の国立がんセンター東病院の施設ビルで開始し、2016年からは、柏地域医療連携センターに移った。 2024年6月27日は、【柏がん哲学外来15周年記念講演会】(添付)であった。 2008年 順天堂大学で『がん哲学外来』開設時に、【今は亡き『癌研所長:菅野晴夫(1925-2016)先生、国立がんセンター総長の杉村隆(1926-2020)先生、吉田富三(1903-1973)博士の長男で、NHKのプロデューサーであった吉田直哉(1931-2008)氏』】の御3人から『快挙であるとの励ましのお言葉』を頂いた。『がん哲学=生物学の法則+人間学の法則』&『がん哲学外来=生きることの根源的な意味を考えようとする患者と、がん細胞の発生と成長に哲学的な意味を見出そうとする病理学者の出会いの場』でもある。

12月26日『ニュースレター 日の出』を編集されている『長島愛生園の医師であった神谷美恵子(1914-1979)の研究者である田中真美先生(立命館大学生存学研究所客員研究員/ ホスピタリテイ人間教育研究所 代表理事)』から『日の出 第3号2024年12月25日発行』が送られてきた。 筆者は、原稿【真摯に熱意を持って継続 〜『役割と使命』の遂行 〜】(添付)を依頼された。 2024年10月29日 国立ハンセン病療養所長島愛生園(岡山県)での『神谷美恵子記念がん哲学カフェ;愛カフェ』12周年記念の講演会に赴いた。『新渡戸稲造(1862-1933)・内村鑑三(1861-1930)―>前田多門(1884-1962)―>神谷美恵子』の流れである。 2012年『神谷美恵子記念 がん哲学カフェ』が開設された。 神谷美恵子は、前田多門の娘で、前田多門は、内村鑑三の主宰する『柏会』に属していた。 新渡戸稲造は、神谷美恵子の両親の仲人でもあった。【『新渡戸稲造が『幼い 神谷美恵子』を膝に抱いてあやしている姿】が 今回、鮮明に蘇って来た。

『性質の異なった者を 容れるだけの雅量』と新渡戸稲造は『世渡りの道』(1912年)で述べている。 新渡戸稲造の下記の言葉の復学の日々である。

1)『他人の感情を尊敬することから生じる謙遜・慇懃の心』
2)『濃やかな配慮の人』
3)『欣然たる面貌、快然たる微笑』
4) 『正論より配慮の実践』
5)『個性と多様性の提示』

   

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