第63回 立場を超えて集う 〜 対話のあり方を学ぶ 〜
2025年4月21日、帰宅してから【がん哲学外来市民学会事務局】の嶋田弥生氏の司会による第13回『つながるカフェ』にZoom参加した。 嶋田弥生氏のユーモア溢れる名司会で進行された。【みなさんの中で、『私も話をしてみたい』、『この人の話、このカフェの話を聞いてみたい』等ございましたら、ご連絡ください。 みなさんと一緒に 『つながっていきたい』と思っております。】とのことである。
【『がん哲学外来市民学会』は認定コーディネーターを中心に会員ボランティアにより運営する団体です。『がん哲学外来市民学会』は、医師、医療従事者、一般市
民、学生、中高生と がん問題に関心を持つあらゆる人々が立場を超えて集う『交流』の場でもある。 市民の立場に立つ『医療維新』を目指す。】と謳われている。『心に咲く花会』を担当されている森尚子氏も事務局のメンバーである。
今回のスピーカーは、兵庫県明石市の【『がん哲学外来 明石メディカルカフェ』代表・担当者】加藤史恵先生であった。 大変有意義な講演で大いに感動した。『がん
哲学学校 in 神戸メディカル・カフェ』(神戸薬科大学 地域連携サテライトセンター)の担当者 横山郁子先生も参加されていた。 横山郁子先生と加藤史恵先生とは、2025年1月18日 神戸市での【『がん哲学外来 Being Cafe 思いを語る場』(代表・担当者:野本亮一先生)】講演会で お会いしたものである(添付)
『つながるカフェ』のモットーの5ヶ条
1)『暇げな風貌』の中に、『偉大なるお節介』を有する『胆力と気概』の習得
2) 空の上から自分を見る視点
3) 言葉の大切さ、重み、対話のあり方を学ぶ
4) 世の流行り廃りに一喜一憂せず、あくせくしない態度
5) 軽やかに、そしてものを楽しむ。
4月21日 Wifeが小学校の校長を務める【クリスチャン・アカデミー・イン・ジャパン(Christian Academy in Japan:CAJ)】での講義に参加される為に県外の高校生2人が、筆者の自宅に宿泊に来られた。 日本語も読めるとのことであったので、筆者の本(添付)をプレゼントした。
第62回 温かい視線 〜 医療の基本精神 〜
2025年4月16日、順天堂大学保健医療学部・診療放射線学科『がん医療科学』の授業に赴いた。テキストに【『がん細胞から学んだ生き方 〜 「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』】(へるす出版2021年)(添付)を用いた。 今回、第1章『医療者としての原点』を音読しながら進めた。『背中に温かい視線を感じて』を説明した。
筆者は島根県の鵜峠という小さな漁村に生まれて育った。 出雲大社から八キロほど山を越えて日本海側に行ったところに鵜峠と鷺浦という二つの村があった。 鵜峠と鷺浦は合わせて学校名は『鵜鷺小学校』&『鵜鷺中学校』であった。 今は、共に廃校となった(添付)。現在の鵜峠は人口約34人で60パーセントが空き家のようである。
鮮明に憶えていることがある。 筆者が、1人で海に向かって石を投げて遊んでいると、いつも老人が、30メートルぐらい離れたところに黙って腰をおろしているのです。背中に老人の視線を感じながら、言葉を交わすこともなく遊んでいた。 きっと老人は、子どもが波にもっていかれないように見守ってくれていたのでしょう。【子ども心に『誰かが見ていてくれるだけで、人は安心する』】ことを学んだ。
『距離感を保って、そっと温かく心配してくれるやすらぎを 誰かに与えることが人生』だということを小さな村が教えてくれた。 この教えが現在の『がん哲学外来』に繋がった。もし筆者が都会で生まれ育ったシティボーイだったら、鵜峠の経験がなければ、『がん哲学外来の存在』はなかったかもしれない。『人生は不思議な不連続の連続性』を痛感する日々である。
また、日本最古の歴史書『古事記』にある物語『因幡の白兎』【兎は鰐鮫に『どれだけ仲間がいるか数えてあげよう』と声をかけて、鰐鮫を隠岐島から因幡国に並べた。そして並んだ鰐鮫の背中の上を渡って因幡の国に来ることができた。だけど最後の一匹の背中の上で『お前たちはだまされたのさ』と笑ったら、『怒った鰐鮫に毛をむしられてしまったのです』と泣きながら『大国主命』に話した。すると『大国主命』は兎の怪我を治した。大国主命は兎に『的確治療』をした。】も述べた。
約1300年前につくられた物語は『誰に対しても 公平な医療を提供するという 医療従事者の基本精神』を伝えているのであろう!