一般社団法人がん哲学外来

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21世紀のがん哲学 樋野興夫
(順天堂大学名誉教授、新渡戸稲造記念センター長、一般社団法人『がん哲学外来』名誉理事長)

〜すこしの時間ご一緒しませんか?
ちょっと立ちどまり、一息つき、考えるときを持ち、歴史人に思いをはせる~

第11回 『21世紀の懸け橋 〜 “がん哲学” 〜』

『居場所の重要性』 〜 心の診察室 〜

2024年7月22日、2009年にスタートされた『吉田富三(1903-1973)記念福島がん哲学外来(福島県立医科大学附属病院がん相談支援センター)』(福島県福島市)に赴く。 3組の個人面談の予約が入っているとのことである。

【福島県出身の世界的病理学者 吉田富三博士を記念して、博士の孫弟子である樋野興夫先生が『福島がん哲学外来』を開設しました。 がんと共に生きる患者/ご家族の思いや悩みをともに考える“心の診察室”です。】と、心温まる紹介がなされている。

筆者は、医師になり、癌研究会癌研究所の病理部に入った。 病理学者であり、当時の癌研究所所長であった菅野晴夫先生(1925-2016)の恩師である日本国の誇る病理学者:吉田富三との『邂逅』に繋がった。 菅野晴夫先生とは、2003年『日本病理学会』と『日本癌学会』で『吉田富三生誕100周年記念事業』を行う機会が与えられた。必然的に『がん哲学』(下記)の提唱へと導かれた。

~ 自分のオリジナルで流行をつくれ ~

顕微鏡を考える道具に使った最初の思想家『吉田富三』
顕微鏡でみた癌細胞の映像に裏打ちされた『哲学』
『がん細胞で起こることは人間社会でも起こる』=『がん哲学』
事に当たっては、考え抜いて日本の持つパワーを充分に発揮して大きな仕事をされた。

そして、2008年『陣営の外=がん哲学外来』へと展開した。 2013年『吉田富三生誕110周年記念』が企画され、新聞記事が大きく掲載された(添付)。 2019年には『吉田富三記念福島県立医科大学がん哲学外来10周年記念講演会』(添付)も開催された。 今年(2024年)は『15周年記念』でもある。

『吉田富三記念がん哲学外来』モットーの5か条

1)『「嫌」とは、言わない人物』の実践
2)『ほっとけ、気にするな!』の実践
3)『あなたの行かれる所に 私も行きます』の実践
4)『「あれも、これも」でなく「これしかない」』の実践
5)『謙遜と大胆』の実践

と謳われている。『居場所の重要性』を実感する日々である。

第10回 『21世紀の懸け橋 〜 “がん哲学” 〜』

【新渡戸稲造ー>樋口一葉ー>津田梅子】〜 『種を蒔く人』 〜

新渡戸稲造(1862〜1933)は、国際連盟事務次長も務め、著書 Bushido: The Soul of Japan(『武士道』)は、流麗な英文で書かれ、長年読み続けられている。

私は、2007年から『武士道』の『読書会』を継続しいてる。 今回、新規の五千円券の肖像は、津田梅子(1864-1929)とのことである。【新渡戸稲造ー>樋口一葉(1872-1896)ー>津田梅子】は五千円券の流れである。

女子教育に大いなる理解を示した新渡戸稲造(東京女子大学 初代学長)が、河井道(1877-1953;恵泉女学園 創立者)、津田梅子(女子英學塾 創立者)、安井てつ(1870-1945;東京女子大学 第2代学長)を 援護した三人に共通するのは『洗練された自尊心の人格像』である! まさに、『種を蒔く人になりなさい』の実践である!

下記は、逆境でも希望を見出す『新渡戸稲造の名言』である。

・人生には浮き沈みがつきものである
・誰にも『此処一番』の頑張りどころがある
・もっとも勇気ある者は もっとも心優しい者であり、愛ある者は勇敢である
・人のありがたみこそが、人間における最高の治療薬
・最も必要なことは、常に志を忘れないよう心にかけて記憶することである

第9回 『21世紀の懸け橋 〜 “がん哲学” 〜』

対話のあり方 〜 柔和で穏やかな心 〜

2024年7月6日 羽田空港からアメリカ シアトルの空港に向かった。 壮大なMt. Rainier (4392m)を観ながら娘の自宅に到着した。 7月9日は【Bainbridge Island Japanese American Exclusion Memoria】(ベインブリッジ島日系アメリカ人排除記念館)を訪問した。 大変、貴重な時となった。

帰国後、7月13日『第13回 がん哲学外来コーデイネター 養成講座 in 京都:大人も 子どもも がんカフェを知る 〜 カフェの未来像 〜』に出席した(稲盛記念会館に於いて)。 7月14日は、筆者が代表を務める『がん哲学外来市民学会』の第12回『がん哲学外来市民学会 京都大会:出会いの中で実を結ぶ 〜 がん教育とともに 〜』(大会長:武藤倫弘 京都府立医科大学教授)(京都学・歴彩館に於いて)に赴いた。 会場は多数の参加者であった。 筆者は教育講演『がん哲学外来におけるがん教育』の機会が与えれた。

『がん哲学外来市民学会』は【医師、医療従事者、一般市民、学生、中高生、あらゆる人々が立場を超えて集う『交流』】&【市民の立場に立つ『医療維新』を目指す。『がんという病気のこと』、『生と死について』、『医療の在り方』、『言葉の大切さ』、『対話のあり方を学ぶ』、『次世代のがん相談者の育成』】の場でもある。

【『愛がなければ全ては無意味』&『愛に溢れた雰囲気を醸し出す』&『積極的に人々に仕える』&『柔和で穏やかな心をもって接する』】は『21世紀の懸け橋 〜 “がん哲学”』の原点であろう!

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