第51回 『人生の貴重な出会い』 〜 『忘れ得ぬ想い出』 〜
2025年2月25日新渡戸稲造(1862-1933)記念センター in 新渡戸記念中野総合病院』に寄った。 2019年3月順天堂大学病理・腫瘍学教授を定年退職して名誉教授を拝命した翌月、『新渡戸稲造記念センター』が設立され、センター長に就任し『がん哲学外来』が定期的に開催されている。
午後は、2021年から理事長を務める恵泉女学園の理事会に赴いた。 新渡戸稲造が、愛読したカーライルの『サーター・リサータス:衣装哲学』の『“Do thy Duty, which lies nearest thee, which thou knowest to be a Duty”(汝の義務を尽くせ。汝の最も近くにある義務を尽くせ、汝が義務と知られるものを尽くせ)』の復学の時となった。
名古屋でプログ『10歳のマリア闘病記』を書かれている瀬戸真知子氏から『10歳のマリア闘病記自費出版』されるとの連絡を頂いた。 【自費出版についてですが、お願いする出版会社が決まりました。――― 約200ページ、150冊~200冊で見積もりをいただき、40万円ほどになるとのことです。 実際に原稿をお送りして編集がスタートするのは、まだ先になるかと思いますが、まるで そびえ立つエベレスト山の ふもとにたどり着いたような気持ちです。 お忙しい中、大変恐縮ですが、『はじめの言葉』をご寄稿いただけますと幸いです。 終わりの言葉は、夫が書く予定です。—– 編集長の娘と一緒に完成目指して頑張ります!】 大いに感動した。 家族全員の製本は『忘れ得ぬ良き想い出』となろう! 本の完成が楽しみである!
ご主人の医者である瀬戸加大先生と最初にお会いしたのは、43年前の1982年の『日本癌学会』だったそうである。 病理医の筆者は、癌研時代から毎日 顕微鏡で細胞を診て、病理組織診断と病理解剖に専念したものである。『丁寧な観察力の修練』】であった。 現在も定期的に病理組織診断業務を行っている。『顕微鏡を見て病気を診断する=森を診て木の皮まで診る』実践である。『がん細胞の病理』と『人間社会の病理』の類似性が、2001年の『がん哲学』の提唱の原点である。【そして、2008年 順天堂大学病院で【『病気』であっても『病人』ではない社会の構築】を目指して『がん哲学外来』が開設された。
『人生の貴重な出会いの流れ』を痛感する日々である。
第50回 清々しい胆力 〜 『自由にして勇気ある行動』 〜
2021年7月14日 順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科『がん医療科学』の授業で『沈黙の春』と『新渡戸稲造(1862-1933)の国際連盟での功績』を質問されたのが 今回鮮明に思い出された。『沈黙の春(Silent Spring)』(1962年)は、『環境問題のバイブル』と言われるアメリカの海洋生物学者:レイチェル・カーソ(Rachel Carson 1907-1964)の本で日本語翻訳は、戦後初代東大総長であった南原繁(1889-1974)のご長男:南原実先生(東京大学教養学部 名誉教授)(1930-2013)によって出版されている(青樹簗一のペンネーム)(1974年発行:新潮社)。
筆者は、現在3代目代表を務める『南原繁研究会』(2004年)以来、南原実先生とは毎年、wifeと一緒にご自宅に招かれ夕食をしながら、親しい深い学びの時が与えられたものである。『未来に生きる君たちに』(南原実)の貴重な得難い『人生の特別ゼミナール』の対話学の実践の場であった。 最終章17章『べつの道』は、『私たちは、いまや分れ道にいる。』で始まる。 長野県にある青木湖(「青木湖学問所」)に、お住まいの南原実先生の娘さまの『南原実回想文集』に、筆者は『南原実先生との出会い』の寄稿させて頂いた。
新渡戸稲造の国際連盟事務次長時代(1919-1926)の大きな功績として、『オーランド諸島の領土紛争の裁定』の解決と『知的協力委員会(International Committee on Intellectual Cooperation ;ユネスコの源流)』を構成し知的対話を行ったことが挙げられるであろう。 世界中の叡智を集めて設立した知的協力委員会には哲学者ベルグソン(Henri-Louis Bergson 1859-1941)や物理学者のアインシュタイン(Albert Einstein 1879-1955)、キュリー夫人(Maria Salomea Skłodowska-Curie 1867-1934)ら著名な有識者12人が参加し、第一次世界大戦後に困窮が著しかった各国の生活水準の調査や知的財産に関する国際条約案を検討し、各国の利害調整にあった。 1922年8月1日に第1回委員会が開催された。『余の尊敬する人物』(矢内原忠雄著 岩波新書)の【『(新渡戸)博士の残した精神こそ日本国民の最も必要とするところでありませう』の言葉が、『日本国の天職』の自覚へと導く。 『時代を動かすリーダーの清々しい胆力』としての『人間の知恵と洞察とともに、自由にして勇気ある行動』(南原繁著の「新渡戸稲造先生」より)】の文章が思い出される今日この頃である。まさに『賢明な寛容』を備えた『真の国際人』である。『小国の大人物 出でよ!』(内村鑑三;1861-1930)。