一般社団法人がん哲学外来

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21世紀のがん哲学 樋野興夫
〜すこしの時間ご一緒しませんか?
ちょっと立ちどまり、一息つき、考えるときを持ち、歴史人に思いをはせる~

第66回『楕円形の心のエッセンス』 〜 鍛えられて実得し得る 〜

2025年5月5日(こどもの日)に『21世紀のエステル会』のスタッフの田鎖夕衣子氏(『がん哲学外来メディカルカフェ ひばりが丘』代表)主催【ひばりが丘教会での講演:がん哲学外来メディカル・カフェひばりが丘 9 周年記念講演会『樋野興夫先生講演 〜 人の心に贈り物を残していく 〜 』】に、参加されていた方が 2019年5月12日の朝日新聞『天声人語』を持参された(添付)。 感動しました。

【―― ふつう円は 一つの中心から描くが、楕円は 定点を二つおくのが ポイントだ。『ひとの心のかたちも 楕円形ではないでしょうか』。 順天堂大学名誉教授の樋野興夫さんはそう語る。 病理学者として がん細胞の研究を続けていきた。 約10年前、治療だけでは患者を救えないと考え、思い悩む人々を言葉で励ます『がん哲学外来』を開く。 語りかけてきた数々の言葉の一つに『心は楕円形』がある。―― 嫌いな人の存在を受け入れれば、描く楕円は大きくなる。 ともに生きると誓った人、すでに亡くなった大切な人に住んでもらってもいい。 人生の歩みが、少しだけ軽やかにならないだろうか。】

【楕円形のこころ がん哲学エッセンス】(2018年12月10日 出版社 春秋社) (添付)の【『プロローグ』に、内村鑑三は楕円形には二つの中心があり、それが自然界の必然であると説いている。それにしたがって人間学を考えてみたのが、『楕円形のこころ』という発想である。―― 一個の中心の周囲に描かるべきものにあらずして、二個の中心の周囲に描かるべきものである。―― 人は何事によらず 円満と称して円形を要求するが、天然は 人の要求に応ぜずして 楕円形を採るはふしぎである。―― 患難の坩堝(るつぼ)の内に燃え尽くす火に 鍛えられて初めて実得し得るものである。』】(内村鑑三;1861-1930)

『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち 楕円形の精神』は、人生教訓である。

第65回 『がん細胞が語る人間社会』 〜 視野狭窄にならず、複眼の思考を持つ 〜

2025年4月30日 新渡戸稲造記念センター(中野駅)から 順天堂大学(御茶ノ水駅)に向かい、順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科2年生の2コマの授業【『病理学概論:カラー学べる病理学』&『がん医療科学:がん細胞から学んだ生き方 〜「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』】に赴いた。

今回の『病理学概論:カラー学べる病理学』は【第3章『再生と修復』(1) 再生と再生医療 (2) 化生 (3) 創傷治癒と肉芽組織 (4) 異物の処理 (5) 肥大と過形成 第4章『循環障害 』(1) 生体と循環のしくみ (2) 充血とうっ血 (3) 旁側循環 (4)出血】の箇所を音読しながら進めた。

『がん医療科学:がん細胞から学んだ生き方 〜「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』では【第2章『病理医からみた臨床医』/『病理医は「人生は虚しい」と考える』、『あなたはどこにいるのか』、『曖昧なことは曖昧に答える』、『プロの為さざること』、『日本は肝臓を目指す』、『脇を甘くする懐の深さ』、『吉田富三生誕100周年記念で学んだこと』 第3章『がん細胞が語る人間社会』/『日本は化学発がん研究の創始国』、『がん化するメカニズム』、『がんには個性がある』、『がん細胞と人間社会の類似性』】を音読しながら進めた。

『現在されている読書』、『悩みの解消法』、『学生時代のお勧めの旅行先』などなど 多数の真摯な質問があり大いに感動した。 筆者は【2007年から始めた『読書会』では、新渡戸稲造(1862-1933)著『武士道』(岩波文庫、矢内原忠雄(1893-1961)訳)と内村鑑三(1861-1930)著『代表的日本人』(岩波文庫、鈴木範久訳)を交互に読み進めている。『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち 出来ることと できないことがあるが、出来ることは 頼まれれば こばむものではない、いやとは言わない】と『人生の心構え』についてさりげなく語った。

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