一般社団法人がん哲学外来

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21世紀のがん哲学 樋野興夫
〜すこしの時間ご一緒しませんか?
ちょっと立ちどまり、一息つき、考えるときを持ち、歴史人に思いをはせる~

第67回『雨ニモマケズ』 〜 寄り添う者になる 〜

2025年5月11日(母の日)、千代田区の番町教会で、午前中の礼拝『はじめに ことばありき』と午後の講演『慈愛に満ちた行動 〜 小さな事に忠実 〜』に招待された。(添付)

新渡戸稲造(1862-1933;盛岡)と同じ岩手県出身で、共に1933年に逝去している宮澤賢治(1896-1933;花巻)が話題になった。【『雨ニモマケズ』(宮澤賢治作): 雨にも負けず 風にも負けず 雪にも夏の暑さにも負けぬ ―― 欲は無く決して瞋からず 何時も静かに笑っている ―― あらゆる事を自分を勘定に入れずに 良く見聞きし判りそして忘れず ―― 東に病気の子供あれば 行って看病してやり 西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を背負い 南に死にそうな人あれば 行って怖がらなくても良いと言い 北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろと言い ―― そういう者に 私はなりたい 】とある。 また、【寄り添う心とは何か】と【『がん哲学】の命名の理由』も質問された。

お寺の住職(医師)と対談した『苦しみを癒す「無頓着」のすすめ』(ブックマン社 2017年2月10日発行)が鮮明に想い出さました(添付)。【<はじめに>:私も今、いつか向かうべき天国でカフェを開くための、そんな機軸を確立させようとしているところです。 本書はそんな観点に立って、最後の瞬間まで気高くあるための生き方について、じっくり考えてみたいと思います。 『第3章:寄り添う心とは何か:相手を気遣っているのに、なぜ気持ちがすれ違うのか? じっくり聞いてあげること、本人に考えさせること』、『第4章:『がん哲学』は人間学である】と記述している。

『教会でも がん哲学外来を始めよう!』(2019年)(添付)に続いて、今年(6月)新刊『お寺でも がん哲学外来を始めよう!』が出版される予定であると語った。

第66回『楕円形の心のエッセンス』 〜 鍛えられて実得し得る 〜

2025年5月5日(こどもの日)に『21世紀のエステル会』のスタッフの田鎖夕衣子氏(『がん哲学外来メディカルカフェ ひばりが丘』代表)主催【ひばりが丘教会での講演:がん哲学外来メディカル・カフェひばりが丘 9 周年記念講演会『樋野興夫先生講演 〜 人の心に贈り物を残していく 〜 』】に、参加されていた方が 2019年5月12日の朝日新聞『天声人語』を持参された(添付)。 感動しました。

【―― ふつう円は 一つの中心から描くが、楕円は 定点を二つおくのが ポイントだ。『ひとの心のかたちも 楕円形ではないでしょうか』。 順天堂大学名誉教授の樋野興夫さんはそう語る。 病理学者として がん細胞の研究を続けていきた。 約10年前、治療だけでは患者を救えないと考え、思い悩む人々を言葉で励ます『がん哲学外来』を開く。 語りかけてきた数々の言葉の一つに『心は楕円形』がある。―― 嫌いな人の存在を受け入れれば、描く楕円は大きくなる。 ともに生きると誓った人、すでに亡くなった大切な人に住んでもらってもいい。 人生の歩みが、少しだけ軽やかにならないだろうか。】

【楕円形のこころ がん哲学エッセンス】(2018年12月10日 出版社 春秋社) (添付)の【『プロローグ』に、内村鑑三は楕円形には二つの中心があり、それが自然界の必然であると説いている。それにしたがって人間学を考えてみたのが、『楕円形のこころ』という発想である。―― 一個の中心の周囲に描かるべきものにあらずして、二個の中心の周囲に描かるべきものである。―― 人は何事によらず 円満と称して円形を要求するが、天然は 人の要求に応ぜずして 楕円形を採るはふしぎである。―― 患難の坩堝(るつぼ)の内に燃え尽くす火に 鍛えられて初めて実得し得るものである。』】(内村鑑三;1861-1930)

『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち 楕円形の精神』は、人生教訓である。

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