一般社団法人がん哲学外来

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21世紀のがん哲学 樋野興夫
〜すこしの時間ご一緒しませんか?
ちょっと立ちどまり、一息つき、考えるときを持ち、歴史人に思いをはせる~

第43回 『器量』&『度量』&『冷静』 〜 人のあるべき姿 〜

2025年1月14日 ひばりヶ丘駅―>御茶ノ水駅―>に向かった。 順天堂大学に寄り、御茶ノ水駅―>経堂駅から恵泉女学園の学園学校会議に出席した。 今年(2025年)は【阪神・淡路大震災(1995年1月17日5時46分52秒に発生した兵庫県南部地震により引き起こされた災害)、地下鉄サリン事件(1995年3月20日に日本の東京都で発生した同時多発テロ事件)】から30年が経つ。『30年』という時間の静思の時となった。

新渡戸稲造(1862-1933)の生誕日9月1日を記念して、第2回『30年後の医療の姿を考える会』シンポジウムを記録した『メディカルタウンの地方(ぢがた)学』(30年後の医療の姿を考える会編、to be出版)が2008年9月1日に発行された。

想えば、読売新聞(2009年2月16日)に下記が掲載されたものである。

【『30年後の医療の姿を考える会』の発足3周年を記念するシンポジウムが、今月8日に都内で開かれた。 医師、看護師、福祉関係者など様々な立場の人が日本の医療の問題点を語り合い、あるべき将来像を探る。 そういう会だ。なぜ『30年後』なのか。 この会の発案者である順天堂大医学部教授、樋野興夫さんによれば、ひとつには、がん研究者としての常日頃の実感があるという。 がんの始まりは1個の細胞の小さな遺伝子変異だが、そこからおおむね30年かかって大きくなる。 人の営みも然(しか)り。 若い時からがん研究に打ち込み、この頃やっと自分が一人前になったと思えるという樋野さんは、人が何かを成すにも30年の歳月を要すると確信しているのだそうだ。 がん細胞に例えての説明にうなずく人もそうでない人も、息の長い不断の努力の大切さを疑いはしないだろう。 樋野さんの話は同時に、問題の萌芽(ほうが)を見過ごすと 後に大きく育つという警告でもある。】

また、日本学術会議の機関誌『学術の動向』(2001年1月号)に『癌哲学への道 〜時と方法 〜』を書いたものである。【勝海舟(1823-1899年)の『器量』〜 目覚めよ!〜、清水次郎長(1820-1893)の『度量』〜 あるべき姿いでよ!〜 新渡戸稲造の『国際性』〜 具眼の士いでよ 〜】とあるが、ますますその必要性が出てきていると言えよう。『愛と信頼=真の人の道』を導くのが、まさに『深くて簡明、重くて軽妙、情熱的で冷静』で、『生まれて来た以上は、生きねばならぬ』(夏目漱石:1867-1916)が、今回、鮮明に思いだされた。

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